遺品といえば、生活用品や衣類、家電などを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
実は、遺品はこうした形あるものだけではないのです。
現在は、パソコンやスマートフォンのなかにあるさまざまなデータが「デジタル遺品」として問題になっています。
目に見えないものをどのように処分したらよいのか、多くの方がこうした悩みに直面します。
ここではデジタル遺品や遺品整理の際の個人情報の扱いについてご紹介します。
目次
遺品整理で個人情報の処理が必要な理由って?
生活用品や衣類、家電など、形ある遺品であれば、ゴミとして処分したりリサイクルしたりすればよいだけです。
しかし、さまざまな個人情報が入っているパソコンやスマートフォンを処分する際は注意が必要です。
まずはどのような情報が含まれているのかを調べなくてはなりません。
もし個人情報が抜き出され悪用されれば、さまざまな被害に合う可能性があります。
遺品整理をする中では、個人情報が流出しないよう、必要なデータは移行し、不必要なデータは削除するなど、デジタルデータに関しても整理しなくてはならないのです。
遺品整理で起こりうる個人情報のトラブルとは?
個人情報トラブル一覧
- クレジットカードの不正利用や、架空請求
- SNSの乗っ取り、なりすまし
- オンラインの有料サービスの未解約
- 故人のプライベートな画像の流失
- 資産運用などでの負債を抱えるリスク
クレジットカードの不正利用や架空請求
パソコン、スマートフォンのデータを消去せずに、ゴミとして処分したり、リサイクルショップに売ったりすると、個人情報が抜き取られてしまう可能性があります。
パソコンやスマートフォンの中にある情報から、パスワードやクレジットカード番号などが抜き出されてしまえば、カードそのものがなくてもが悪用される可能性も十分にあります。
故人のカード類を整理し、使用を止める手続きをするのはもちろんですが、こうしたデータを悪用されないようしっかりと保護・削除するのも大切な遺産整理です。
SNSの乗っ取りやなりすまし
近年問題になりつつあるのがSNSの乗っ取りやなりすましです。
現在は多くの人がさまざまなSNSやブログを利用しています。もちろん故人との思い出をインターネット上に残す大切なツールではありますが、長期間放置していると乗っ取りやなりすましが現れ、誹謗中傷などの迷惑行為をすることもあります。
さらには、広告業者やスパムに乗っ取られてしまい、友人知人に迷惑をかけるということにもなりかねません。
故人がどんなSNSを使っていたかや、それぞれのログインID・パスワードはしっかりと確認しておく必要があります。
オンラインの有料サービスの未解約
見落とされがちなのが、オンラインの有料サービスです。
動画の見放題サービスや、登録制の有料サイトなどは、解約手続きがされなければ、死亡後もそのまま引き落としが続くということもあります。
こうした場合はパソコンやスマートフォンから、故人がどんなサービスを利用していたかを特定しなくてはなりません。
故人の口座やクレジットカードを解約する手続きはもちろんですが、こうした有料サービスもしっかりと調べ、気づかずに料金を支払い続けていたということにならないようにしましょう。
故人のプライベートな画像の流失
パソコンやスマートフォンには、メール、写真、動画などさまざまな思い出が残されています。
特に写真や動画は、遺族にとって大切な遺品となることでしょう。なかには自分たちの知らない故人の姿があるかもしれません。
写真や動画は整理し、遺族のパソコンにデータを移行したりHDやDVDに残したりしておくなどするのがおすすめです。
そのままにしていては、インターネット上で流出し悪用される可能性があります。
資産運用などでの負債を抱えるリスク
故人がオンライン上で金銭のやり取りをしている場合、通帳やカードなど形あるものが残っていない場合があります。
近年利用者が増えているネットバンキングやネット証券の利用の有無をしっかりと確認しておきましょう。
FXや仮装通貨などでの取引があった場合、放置していると大きな損失になってしまうこともあり注意が必要です。
こうした資産となるものは、のちのち見つかって相続トラブルになる可能性もあります。
パソコンやスマートフォンからしっかりと利用歴や残高を確認する必要があります。
遺品整理で見落としがちの「5つの個人情報処理」
クレジットカードの解約手続き
クレジットカードは、悪用防止のためにも故人の死亡後速やかに手続きを行いましょう。
ポイントカードなどにクレジットカード機能がついているものもあるので、しっかりと確認が必要です。
ただし、カードの利用停止を申し込むと、故人が貯めていたポイントは利用できなくなってしまいます。
ポイントの残高を確認するのを忘れないようにしてください。
また、引き落とし先の金融機関も同時に凍結してしまうと、最後のカード利用分の引き落としが出来なくなり、あとから請求不能の通知が来ることがあるので注意しましょう。
カードの引き落としがすべて終わってから、金融機関を凍結するようにしてください。
SNSアカウントの削除
SNSは、遺族からの申請でアカウントを停止できる場合があります。
Facebookの場合、利用者が亡くなり遺族が申請すれば、追悼アカウントに移行することができます。
新規投稿やコメントの書き込みは停止され、故人の投稿はそのまま残りますので、タイムラインを通じて故人を偲ぶことができます。
さらに、Facebookは、故人の近親者ということが証明できれば、アカウントの削除を依頼することもできます。
Twitterの場合は、遺族からの申請で、アカウントの削除が可能です。Instagramの場合は、Facebookと同じように追悼アカウントへ移行するか、アカウントの削除が依頼できます。
パソコンやスマホのデータ整理
たとえ家族でも、お互いのパソコンやスマートフォンのパスワードを知っているという人はほとんどいないでしょう。
故人のパソコンのロックを解除しなくてはならないときは、パスワードがわからなくても業者に頼めば解除することができます。
ただし、スマートフォンの場合は、個人情報保護の観点からも、ほとんどが解除できないようになっています。
もしパソコンやスマートフォンのロックが解除出来たら、悪用を防ぐためにもしっかりとデータの整理を行いましょう。
ネットバンキングや証券口座などの口座停止
ネットバンキングやネット証券の講座などは資産と見なされるので、あらかじめ把握しておきたいものです。
ただし、家族に内緒でFXや仮装通貨を利用している人も少なくはありません。
知らないうちに多額の負債があるということもありえなくはありません。
こうした資産に関するものは、出来るだけ早く調べ、速やかに対処することが必要です。
オンライン有料サービスの解約
オンラインの有料サービスは、パソコンやスマートフォンの履歴から探すことができます。
本人の死亡が証明できれば、ほとんどの場合家族からの依頼で解約することが可能です。
携帯電話などの料金と一緒に引き落とされている場合もあるので、請求書や引き落としの明細もしっかりとチェックすることが大切です。
個人で処理する場合は「シュレッダー」業者で処理する場合は「融解処分」がおすすめ
個人情報が書かれている書類が出てきた場合は、シュレッダーにかけて処分します。
会社の書類など、大量に出てきた場合は業者で融解処分をしてもらいましょう。
箱に詰めて送るだけで、そのまま封を開けずに融解処分してくれるので、個人情報が漏れることはありません。
悪徳業者には十分に気をつけましょう!
パソコンやスマートフォンのデータは、たとえ画面上で削除したとしても、まだHDの中に残っている可能性があり、書類のように簡単に処分できません。
パソコンやスマートフォンに詳しくない方が処分するときには、専門の業者に頼み、データを確実に消してもらうことをおすすめします。
なかにはデータを消去し処分した証明書を発行してくれる場合もあります。
ただし、なかにはこうした個人情報を処分することを名目に、個人情報を引き出して悪用する悪徳業者もいるので、業者に依頼する際は注意が必要です。
個人で処理できない場合は「個人情報処理業者」へ相談するのもおすすめ
遺品整理をする中で個人情報の処理に困ったら、個人情報処理業者に頼むのも一つの方法です。
個人情報処理業者は、個人情報を専門に処理してくれる業者のことで、故人のあらゆる個人情報を適切に処理してくれます。
悪徳業者か不安な場合は「ISOマーク」や「Pマーク」を確認
どの業者を選べばよいか迷ったときには、ISO認証されている事業社のみが使える「ISOマーク」や的確に個人情報を扱える事業社が使える「Pマーク」があるかどうかを確認するとよいでしょう。
「ISOマーク」は、環境に負荷を与えず、廃棄物を適正に処理するという理念をもつ会社を意味し、「Pマーク」はプライバシーを万全なセキュリティーで管理しているという証明の意味を持ちます。
どちらも、会社として、「きちんとした志や、使命を持って活動しています」という意思表示となりますので、悪徳業者か不安になった場合はHP内にこちらのマークがあるか確認してみることをオススメします。
まとめ
ポイントまとめ
- 遺品の中に残された個人情報は悪用される可能性がある
- インターネット上の個人情報は適切な対処が必要
- 処理しきれない場合は専門業者へ依頼を
故人の残された情報やデータを適切に処理することも遺品整理の一部です。
生活用品と違い、データは見た目にわからないものなので、その捜索と処理には手間がかかります。
困ったときには専門業者を利用しながら、効率的に遺品整理を進めていくことがおすすめです。